睡眠時無呼吸症候群を解く

睡眠とはなんて幸せなことなんでしょう! どんな満足感よりも温かな布団にくるまって心地よいまどろみの中にいることが幸せだと思いませんか? 眠っている間は意識もなく、夢の中で楽しい思いをしています。しかし実は寝ている間にも自分の身体には様々な変化が起きていて、いびきもまた自分の気づかないところで起きている現象です。
あなたは愛する人や家族に「あなた時々呼吸が急に止まることあるわよ」と言われたことありませんか? 現在その危険性について改めて注目されているのがこの「睡眠時無呼吸症候群(ASA)」という病気で、人々の日常生活に多大な影響をもたらしています。

人は眠っている間、体がリラックスして全ての筋肉が緩みます。血流がゆっくりになり、体温が下がり、意識がなくなります。日中傷ついた筋肉を寝ている間に修復し、また疲れた脳を十分に回復させます。しかしこの無呼吸症状があると脳にしっかりと酸素が送られず、身体もしっかりと休まりません。むしろ脳に障害が起こるなどの深刻な被害にも発展します。

<睡眠時無呼吸症候群とは>
一般的に睡眠時無呼吸症候群と認識するには次のような条件があります。まず「口・鼻からの呼吸が10秒以上停止すること」。また「10秒以上の呼吸気量が50%以上低下すること」などがあります。仮にこれらに当てはまらないものの低呼吸状態を繰り返して不眠を訴える人もいます。こういう方はいびきや歯ぎしりがひどい場合が多く、「いびき・歯ぎしり不眠症」と呼ばれています。

睡眠時無呼吸症候群に陥ると、例えば就寝中に何度も目が覚めて不眠に陥ったり、日中激しい眠気に襲われたりといった症状が出ます。また抑うつ状態になったり、集中力の低下、起床時に激しい頭痛を伴ったり、喉が乾く、頻尿、インポ・月経不順など症状が現れます。このような症状が現れると日常生活にも大きな影響が現れ、日中仕事をしようにも仕事ができないなどの深刻な被害につながります。

睡眠時無呼吸症候群のサインとしては、まずいびき。このいびきが止まったり、そのせいで何度も目が覚めるようなことがあれば注意が必要です。これに陥ると「ぐっすり眠る」という経験をすることがありません。効率の悪い睡眠(到底睡眠とは言えない睡眠)を繰り返し、結果的に寿命を縮めていくことになります。

睡眠時無呼吸症候群には大きく分けて2種類のタイプがあります。1つは無呼吸症候群の9割の人がかかっているタイプですが、喉や気道が塞がってしまい起こる症状です。もう1つはさらに深刻で、脳から呼吸指令が出なくなり、呼吸中枢に異常が発生して起こります。

睡眠時無呼吸症候群の検査には「睡眠ボリソムノグラフィ検査」といったものがあります。これは入院して脳波や眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージを計測したり、口・鼻の気流や胸・腹の動きによる呼吸パターンをチェックします。またパルスオキシメーターで経皮的動脈血酸素飽和度を調べだして医学的に睡眠時無呼吸症候群かどうかを判断します。携帯型のアプノモニターで在宅検査を行う場合もあります。

<いびきのメカニズム>
睡眠時無呼吸症候群の最たる原因であるいびきについて考えていきましょう。
いびきには色々な種類があります。いびきには音のトーンがあり、ボリュームの違いがあり、呼吸の連続性などのリズムの違いもあります。それら人それぞれの骨格や寝方、体調によっても変わってきます。
自分が普段どんないびきをかいているかということは自分ではわかりませんよね。わざわざ録音して確かめる人もいるかもしれませんが、大抵は人に言われて初めて気がつくものです。なので、そのいびきが睡眠時無呼吸症候群の症状かどうかに気づくことがなかなか難しいものです。
いびきというとは喉の筋肉が弛んで呼吸器が狭まり、そこを空気が通ると気道が擦れて音が鳴り、それがいびきとなります。人は眠ると身体全体がリラックスし、血流も緩やかになり、呼吸も落ち着きます。寝ている間は常に深呼吸をしているような状態なのです(深呼吸は酸素を多く取り込むという効果もありますが、肺の筋肉を拡張して緊張を解く意味もあります)。これによって寝るときにいびきが起こり、起きている時には決して起こらないんですね。仰向けに寝る人は特に筋肉弛みによって口蓋や舌の付け根が重力によって喉の奥の方に落ち込んでいびきが発声しやすくなります。
またこのいびきは体型や生活習慣によって起こりやすい人がいます。まず肥満の方ですと喉の周りの肉も多いですし、寝ている時に落ち込みやすいのでいびきはかきやすくなります。また下顎が小さくて後ろに引っ込んでいる人も口蓋・舌が落ち込みやすくいびきを起こしやすいと言われています。他にものどちんこが長い人、舌が大きい人もいびきをかきやっすいです。
またこのような体型ではない人でも、鼻づまりだと普段いびきをかかない人もかく傾向にあります。鼻づまりだと必然的に口呼吸になるためで、アレルギー性鼻炎など年中鼻がつまっている人はいびき体質ですね。鼻づまりは鼻が曲がっている人によく発生する現象ですが、日本人の大半がこの曲がった鼻に当てはまるそうなので、元来鼻がつまりやすくいびきをかきやすい骨格を持っているのかもしれません。
またストレスや疲れが溜まっているといびきをかきやすくなります。こういう時は深い眠りに陥りやすく、多くの酸素を取り込もうとしますのでいびきになりやすいですね。

<いびきと睡眠時無呼吸症候群>
睡眠時無呼吸症候群が深刻な病気であるという認識は近年ようやく広まり始めているところではありますが、その病気という認識が今までなかった背景にはこのいびきというものがごく日常的な出来事だったことがあり、このいびき自体に危険性を感じていなかったからに他なりません。未だに無呼吸を軽視するような方もいますが、前述のような症状が表れ、日常生活に深刻な障害をもたらしています。
いびきをかく人は当然呼吸をすることになりますが、この口呼吸は免疫力の低下や成長ホルモンの減少、扁桃炎、ウィルスによる口内炎や菌の繁殖による口臭の悪化に発展することがあります。ゆえになるべく限りこの口呼吸を改善することが大事であると言えます。

睡眠は長さよりも質です。世界的な調査で日本人の平均睡眠時間は世界でも最短という結果が発表されました。仕事を頑張りすぎて睡眠時間を削る人やゲームのしすぎて寝る時間を削るなど、日本人の睡眠に関する問題が最近露呈されてきています。戦後の経済成長から続く勤労スタイルとこの娯楽の多い世の中で、日本人は疲弊し、またいびきをかく人も増えて無呼吸症候群の方も増えています。いくら短い時間でも質の高い睡眠が取れれば問題はありません。深い睡眠は脳が緊張状態だといけませんので、ぐったりする程身体が疲れているか、寝る直前は脳波を落ち着かせてゆったりすることが大切です。ウトウトするまで本を読む、というのは結構利に叶っていて、寝る直前までパソコンやスマートフォンをいじっていると眼から脳へと強い刺激が送られてなかなかいい眠りにつけません。まずはこの間違った睡眠の認識を正すことから始めなくてはなりませんね。

睡眠時無呼吸症候群は誰かに見てもらわないとわからないのか? と言われれば、決してそうではありません。一人暮らしの方でも、以下のようなことが思い当ればまず疑ってもいいかもしれません。
・寝汗がひどい
・起きると口が乾いている
・起きると頭がずきずきする
・すっきり起きれない
・起きると身体が重たい
こんなようなことありませんか? 睡眠中は体温調整のため人は結構汗をかいているものですが、あまりにひどいと無呼吸症候群の症状かもしれません。これだけ見るとお酒を飲んだ日なんかはアルコールで水分が飛ばされて口が乾きやすく、アルコールが残っていて頭がずきずきして身体が重たい、なんて無呼吸かどうか区別がつかないこともあります。お酒を飲むといびきをかきやすくもなるので、もしひどい場合は一度診断してもらった方がいいかもしれません。

<生活習慣といびき>
いびきには生活習慣と密接に関係がある、と前述しました。特にお酒とタバコについて考えていきましょう。

お酒を飲むといびきをかきやすくなりますが、アルコールの作用によって首や喉の周りや上気道を支える筋肉が緩んでいびきが生じやすくなります。眠ることで筋肉が緩みますが、それに加えてアルコールの作用でさらに落ち込みやすく、かつアルコールの作用で脳も深い睡眠に陥りやすくなります。普段からいびきをかく人は無呼吸症候群に陥りやすくなり、飲み過ぎると嘔吐によって気道を塞いで知らない内に窒息死する恐れもあります。強い酒を飲む人はそれだけで食道等が傷つきますし、飲み過ぎや強い酒は身体に悪影響であるということは認識しましょう。お酒は飲んだ後は6時間くらい残ったままなので、飲んだ日はほぼいびきをかきやすい状態になると考えてよいでしょう。お酒を飲むな、とは言いませんが、飲み過ぎると無呼吸症候群の症状が出て翌日極端に眠たくなったり支障が出る恐れがあります。

またタバコは呼吸器が傷ついて炎症を起こしやすく、狭くなった気道を空気が通ることでいびきをかきやすくなります。ヘビースモーカーの方は特に落ち込みやすいので、極度の喫煙は危険と言えます。

また高血圧・糖尿病・高脂血症の持病がある人もいびきには注意が必要になります。30~60代くらいになると脂肪がつきやすい身体に変化するため、今までいびきをかかなかった人もかくようになったりします。筋肉がたるみ、肉がつきやすくなり、お酒やタバコの頻度も増え、またストレスや疲れの蓄積などからいびきへと発展していきます。働き盛りの年齢なので避けられない部分ではありますが、健康には気を使い、せめて肥満体質にならないようにすることが大事だと言えます。

<対策と予防>
肥満はいびきに関わらず様々な病気に発展する元凶です。肥満でいいことなど何もありません。ただ肥満を元に戻すのは大変ではあります。いびきに着目するならば首周り・喉の肉を落とすことを考えればよいです。かといってその部分だけ落とすダイエット方法はありませんから、全体的にダイエットしていくことにはなります。
激しい運動は必要ありません。1日数時間、家までの一駅や二駅分だけでも歩いて帰るようにすれば十分な運動になると言えます。これを継続することが大事で、週数回ではなくなるべく連続して行うようにしましょう。ジムに行く、というのも周りに頑張っている人を見ながら一緒にできるのでいいかもしれません。暑いのが嫌という人はプールでウォーキングをするのもいいかもしれません。プールだと水抵抗があり、脂肪のマッサージにもなるので効果が望めると言えるでしょう。
運動だけではなく、食生活も大切です。カロリーや栄養素を考えて接種するようにしましょう。脂っぽいものも食べたらその分消化するようにし、バランスを考えて行動しましょう。
喉の肉を刺激するにはカラオケや発声練習も効果的と言えます。喉の筋肉を鍛えることでいびきの防止にもなりますし、声を出すこと自体結構なカロリー消化になり、ダイエット効果もあります。ただやりすぎると喉を痛めて逆にいびきをかきやすくなるんで注意が必要です。

鼻が悪い人はまず耳鼻科へ、喫煙・飲酒の方はなるべく控えるか程度を抑えること。まずはここらへんの生活改善から始めることで少しずつ効果が表れると思います。

<おすすめの器具>
最近はいびき防止のための医療器具というのも開発され、軽量化・市販化されずいぶん便利になりました。その中でも注目されているのが「ナステント」というものです。チューブ型の軽量器具で、のどちんこまで入れて気道を確保し、睡眠中の空気を通します。このことでいびきが起きにくく、無呼吸症候群の症状も抑えられます。使い捨てなので手入れは必要なく、他の器具に比べても使いやすくてリーズナブルです。また旅行先や出張先でも場所を選ばず使うことができ、使用しながらテレビを見たりすることもできるので実用性が高いと言えます。気になる方はぜひ一度お試し下さい。びっくりするような効果が望めることでしょう。

なんにせよ、まず睡眠時無呼吸症候群かと疑ったら病院に相談することが第一です。間違った認識で放っておくと深刻な被害に広がります。たかがいびき、されどいびきで、睡眠という人間活用に欠かせないものが犯されるのは死活問題ですので、しっかり対処していきましょう。

無呼吸症群に困ったら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です